中小企業診断士資格更新要件のまとめ
中小企業診断士資格は、中小企業に対して適切な経営診断・助言を行う者として一定のレベル以上の能力を持った者を、経済産業大臣が登録する制度です。
上記能力の維持・発展の証明として中小企業診断士は資格維持のために有効期間である5年の間に知識要件・実務要件から成る更新要件を満たすことが必要です。
ここでは資格更新のために必要な更新要件の取得方法について述べます。
1.更新制度
以下は中小企業診断士の制度について、資格登録後の部分をまとめたものです。
上記にあるように更新のためには、登録を受けてから5年の間に
「実務要件(実務ポイント)」…中小企業支援または実務従事(補習)の受講30点(30日)
を満たす必要があります。
2.理論ポイントの取得
理論ポイントの取得は上記では3つの方法を掲載しました。
①理論政策更新研修の受講
②論文審査の受講
③中小企業大学校の支援人材向け研修
①理論政策更新研修の受講
・一般社団法人 中小企業診断協会:http://www.j-smeca.jp/
・株式会社 実践クオリティシステムズ(弊社)
・株式会社 経営教育総合研究所:http://www.keieikyouiku.co.jp
・株式会社 タスクール Plus :http://task-school.com
・株式会社 大塚商会 :https://www.otsuka-shokai.co.jp/koushin-kenshu/
*他社URLは新しいタブで開きます。並びは中小企業庁Webサイト掲載順
1回の受講で理論要件(以下では理論ポイントと記載)が1点取得できます。研修のテーマ設定や運営は各機関に任されていますが、時間は「4時間以上」と定められ、研修の中では中小企業白書の内容について学習することも定められています。
②論文審査の受講
「会場に行かなくても良い」「まとまった時間をとらなくて良い」などのメリットがあり、時間や場所に縛られることなく理論ポイントを取得することが出来ます。
③中小企業大学校の支援人材向け研修
こちらも1回の受講で理論ポイント1点の取得になります。
<メモ> この他に①、③の研修講師を行うことで理論ポイントを取得できますが、 一般的には難しい方法なのでここでは割愛します。 |
3.実務ポイントの取得
次に実務ポイントについて説明します。
大きく分けて以下の2つの方法によって取得が可能です。
・中小企業に対する診断・助言の実施
・実務補習機関が行う実務補習・実務従事 *2024年7月現在実務補習機関は『中小企業診断協会』様のみ
「中小企業に対する診断・助言の実施」で実務ポイント取得の対象となる業務は大まかには以下のものです。
① 国、都道府県、商工会等の委嘱で行う診断助言、窓口相談
② 中小企業に勤務し経営者の指示で行う自社への診断助言(自部門へのルーティンワークを除く)
③ 金融機関や大企業等に所属し、取引先等中小企業に対して行う診断助言
④ 診断士が事業として行う中小企業経営に対する診断助言
上記の機会が無く実務ポイントの取得が難しい方は、まずご自身の友人・知人、親戚等に事業を行っている方がいないか、探してみることを勧めます。認められる対象は企業経営者だけでなく個人での事業主や、フリーランス、NPO(ただし小売・卸・サービスを主たる事業とするもの)も含まれます。形式的な「診断」を行わなくても、経営の相談にのり、課題解決のアドバイスをすることで実務ポイントを取得できます。
また診断士の知人がいれば、その方に相談してみることも一つの手です。診断の機会があれば参加させてもらえるかもしれません。
4.有効期間内にポイント取得が困難な場合
例えば、有効期間が残り1年間で
・理論ポイントを1点も取っていない
・実務ポイントを1点も取っていない、取る当てもない
という場合。
理論ポイントは5年で5点の取得(5回の受講)であるため、1年間あればそこまで難しくありません。
特に現在は実施機関も増え、さらにオンライン研修も存在するため、時間さえ取れればすぐに5回の受講が可能です。
それに比べて、実務ポイントの当てが無い場合はハードルが高いです。
もし、有効期間の間に実務ポイントを揃えることがどうしても困難な場合『資格の休止』制度を利用することが出来ます。
資格の休止は資格有効期限までの「時間を止める」ことが出来るため、その間に実務ポイント取得の目途を付けることが出来れば更新が可能です。休止制度については以下の記事をご覧ください。
なお、更新要件を揃えられずに有効期限を過ぎると、容赦なく失効します。
(有効期間内に更新要件を揃える状態で更新手続きを忘れていた場合、失効から1年を超えない間に限り再登録が可能です)
5.まとめ
中小企業診断士資格は取得が大変ですが、取得してからも人によっては維持・更新に苦労します。しかし維持・更新の過程で中小企業との関わりを増やし、その実態を自分の目で見る事が出来ます。資格を「ただ持っているだけ」にしないためにも、更新の制度を上手く活用して自身のスキルアップにつなげて頂ければと思います。